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2006年2月12日 (日)

税の負担をどうする気(その3)

起業することは簡単なことではないですし、更に起業後会社を継続していくこともなかなか大変です。起業後すぐは開店祝いなどで忙しいものですが、すぐに会社を続けていく大変さに気づきます。仕事を継続して取らないと続けていくことができないですし資金繰りの問題も大きいです。

これを乗り切り何年か続けていくと徐々に(あるいはいきなりと言うこともあるようですが)拡大していきます。仕事も増えると当初の設備では対応できなくなるし雇用の問題も出てきます。

ところがこういうときには利益は上がっているかもしれませんが、実は資金がないというケースが非常に多い。

利益と資金繰りとの関係は今回細かくお話ししませんが、私がこの業界に入った当初に知ったのは「中小企業にとって資金繰りが楽なときは思った以上に利益が出ている」ということでした。このことから当時の新人時代に「月次決算」の重要性を知ったのかもしれません。

この時期は利益が出ると法人税等の負担が重く掛かる時期でもあります。資金を法人内部に留保できれば一番良いのですが利益が出ると実効税率40パーセント程度の法人税等を負担しなければなりません(利益の4割程度は税金でなくなるということ)。また困ったことにこの頃の会社は不安定で一気に損失に陥り、苦労して積み重ねた税引き後の留保金など簡単に吹っ飛んでしまうことは珍しくありません。増やすのは難しく消えるのは早いのがこの会社の内部留保です。

そこで税対策の問題も兼ねて内部留保の代わりに社長の役員報酬を引き上げます。但し(ここが重要)引き上げた役員報酬の多くは実質的にその社長のものではなく、社長本人は使わず貯めておいてもらいます。そして会社の資金繰りに応じてその会社に貸し付ける形で資金提供してもらいます。言ってみれば税負担を社長個人がすることによる合法的な留保の手段です。資金繰りの不安定な中小法人にとって法人税等の問題を対処するためにこの方法は非常に多く使われています。

個人的に税負担をしてまで資金を貯めようという行為はこの様な起業家である方だからこそできるものです。またそうしないと本当に苦しいのが中小企業の資金繰りの現状でもあります。

さて、平成18年度税制改正大綱で突然発表された稀代の改悪部分(※私見でまとめたものを入れておきましたので参考にして下さい)はこの様な一番苦しい時期の中小企業をねらい撃ちしたものだと感じています。とんでもない改悪で公平さ等を欠いた起業意欲をそぐものです。

所得税における給与所得控除を改正するのならまだしも、何で法人税に関してこの様ないい加減な改悪をするのか理解に苦しみます。

結局のところ所得課税を見直すには、所得税・住民税そして法人税を技術的な課税方法を導入するのではなく、根本的な見直しを行わないと「公平、中立、簡素」という政府税調の精神は反映できないのではないでしょうか?

そして、これを無視した改悪を行うのなら首相の諮問機関の政府税調も税金の無駄遣いなので早々に解散した方が良さそうです。

この改悪案には断固反対します!

(※)私見でまとめた平成18年度税制改正大綱で突然発表された稀代の改悪部分

1,同族会社の業務を主宰する役員等が発行済株式の総数の90%以上を株式を所有し、常務に従事する役員の過半数を占める場合等は、主宰する役員に対する役員報酬のうち給与所得控除に相当する金額は、損金不算入とする

2,適用除外とする場合 

・その会社の所得と主宰する役員に対する役員報酬の合計額が直前3年以内の事業年度平均額が年800万円以下である場合

・同上の平均額が年800万円超3,000万円以下であり、かつ、平均額に占める主宰する役員に対する役員報酬の額の割合が50%以下である場合

本文で書いたような法人がまさしくこの改悪案を適用される様な法人だ!


 

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福井一准税理士事務所

 

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きわめて信じがたい事態なのですが、時間がありません。国会審議の過程で見直しが行われますよう、多くの方に世論を喚起していただきたく存じます。 たくさんの人が気づかない間に税制改正の一部にとんでもない項目が織り込まれ、国会を難なく通過してしまいそうです。与党....... [続きを読む]

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