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2013年7月19日 (金)

相続開始直前に被相続人名義で取得した不動産の評価

裁決事例集には収録されていない裁決(平成23年7月1日)ですが、先日の研修でこの裁決事例の検討をしました。

相続税の案件で論点はいろいろあったのですが、その中で財産評価についての検討がおもしろかったので紹介します。

この事例では、次の場合にマンション評価額を通常の相続税評価額で評価するか取得価額で評価するかが論点の一つとなりました。

・相続開始の約1月前に都内高級マンション1室を被相続人の唯一の相続人である養子が代理人として購入(購入価額約3億円)

・相続開始(このマンションの相続税評価額を「路線価+固定資産税評価額=約6千万円」として相続税申告)

・相続開始の約1年後にこのマンションを売却(売却価額約2億8千万円)

なお、所有期間中被相続人は入院しており、このマンションは居住・貸付等の用に供せず空室のままであった。

・所轄税務署は取得価額約3億円で評価(※)するとして更正処分

(※)実際の更正理由は取得価額の約3億円相当額をみなし贈与財産(3年以内の加算)として更正処分したそうですが、今回は評価の問題に絞ります。

審判所は取得価額による評価を支持しました。その判断は次のとおりです(以下、要約)。

具体的な相続財産の価額の評価について、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合には、評価基本通達によらず、他の合理的な方式によってこれを評価することが相続税法第22条の法意に照らして当然に許されるものというべきである。

上記のような場合に、評価基本通達に基づき本件マンションを評価することは、相続開始前後の短期間に一時的に財産の所有形態がマンションであるにすぎない財産について実際の価値とは大きく乖離して過少に財産を評価することになり、納税者間の実質的な租税負担の平等を害することになるから、上記事情は、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別の事情に該当するというべきである。

(平成5年10月28日最高裁が同様の事例について同じ判断をしています)

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(検討)

今回のケースによる「相続開始前後の短期間に一時的に財産の所有形態がマンションである」財産とは、投資商品として所有した財産と考えられ(準)たな卸資産として評価すると考えることが妥当ではないか。

そうすると財産評価基本通達133、所得税法施行令第99条、102条(※)から勘案するに最終仕入原価法として取得価額で評価することが妥当であろう。

(※)各々の要約です。

財産評価基本通達133

個々の価額を算定し難いたな卸商品等の評価は、所得税法施行令第99条に定める方法のうちその企業が所得の金額の計算上選定している方法による

所得税法施行令第99条第1項第1号ホ

最終仕入原価法(期末棚卸資産をその種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その年12月31日から最も近い日において取得したものの一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。)

所得税法施行令第102条第1項

評価の方法を選定しなかつた場合等は、最終仕入原価法により算出した取得価額による原価法とする。

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こちらの非公開裁決に関する記事もあります

無職無収入である配偶者が多額の預金を有する場合

 

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