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2013年11月21日 (木)

非上場会社が自己株式を取得した場合の税務処理

法人が会社法第155条に基づき自己株式を取得した場合、会社法では自己株式は資産とは捉えずに会社財産の払い戻しとし、会計の取扱いは以下のとおりとしています(企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」7、8)。

 

 
・取得した自己株式は、取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除する。  

・期末に保有する自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する形式で表示する。 

 

―――☆☆―――☆☆―――

 

一方税務では、自己株式により交付した金銭等については資本金等の額の減少に係る部分と利益積立金の減少に係る部分とに按分するプロラタ計算をすることとされています。

 

1.資本金等の額の減少に係る部分(法人税法施行令第8条第1項第17号ロ)

取得資本金額とされ、株主出資分の払い戻しとされます。

その計算は次によります。

 

「自己株式の取得等の直前の資本金等の額」÷「直前の発行済株式等総数」×「取得した自己株式の数」 

 

2.利益積立金の減少に係る部分(法人税法施行令第9条第1項第12号)

配当とされ、計算は次によります。

 

「交付金銭等の額」-「上記1で計算した取得資本金額」 

 

(平成26年5月26日 追記)

上記の計算は2以上の種類株式を発行していない場合です。発行している場合は下記を参照して下さい。

2以上の種類株式を発行する非上場会社が自己株式を取得した場合

 

―――☆☆―――☆☆―――

 

(以下、私見です)

 

非上場会社である発行法人が自己株式を取得する場合の説例で実際の処理を確認すると次のようになります(復興特別所得税は考慮せず)。

 

(説例)譲渡対価(交付金)の額 1,000

 

     取得直前の資本金等の額 10,000(全て資本金とする)

 

     直前の発行済株式総数 10,000株

 

     取得した自己株式の数 300株

 

     源泉所得税 140 

 

会計仕訳は、一般的には次のように行います。

 

(自己株式) 1,000   (現金預金) 860

 

   (預り金)   140

 

貸借対照表の表示は

       
 

資本金

 
 

10,000

 
 

自己株式

 
 

△1,000

 

 

税務上

資本金等の額の減少部分(取得資本金額)は

10,000÷10,000株×300株=300

利益積立金の減少部分(みなし配当)は

1,000-300=700

従って、税務仕訳は

 

(資本金等の額) 300  (現金預金) 860

 

(利益積立金)   700  (預り金)  140  

 

税務調整仕訳を別表調整(一例です)と絡めて考えると

   

(1)(利益積立金) 700  (資本金等の額) 700

 

利益積立金の減は、「みなし配当」部分で4と5(1)Ⅰ減算留保へ記載

 

資本積立金の増は、資本等取引に係る調整で5(1)Ⅱへ記載  

(2)(みなし配当) 700  (加算流出) 700

 

別表4加算流出へ記載  

 

別表調整の一例を示すと次のとおり(抜粋)

(別表4)

                             
 

区分

 
 

総額

 
 

処分

 
 

留保

 
 

社外流出

 
 

加算

 
 

みなし配当

 
 

(2)700

 
 

 

 
 

(2)700

 
 

減算

 
 

みなし配当

 
 

(1)700

 
 

(1)700

 
 

 

 

 

(別表5(1))

                                       
 

Ⅰ 利益積立金額の計算に関する明細書

 
 

区分

 
 

当期の増減

 
 

 
 

 
 

みなし配当

 
 

 

 
 

(1)△700

 
 

 

 
 

Ⅱ 資本金等の額の計算に関する明細書

 
 

区分

 
 

当期の増減

 
 

 
 

 
 

自己株式

 
 

B/Sより)1,000

 
 

 

 
 

利益積立金

 
 

(1)△700

 
 

 

 

 

※別表の記載方法は他にもあり、市販の解説書などの多くは「自己株式」の欄と金額を5(1)Ⅰに記載する方法が紹介されています。

ただ、この事例での自己株式の処理では結果として

・別表4の加算と減算が同額となり、課税所得は0

・別表5(1)利益積立金の減額は、総額700(みなし配当分)

・別表5(1)資本金等の額の減額は、総額300(取得資本金額分)

となれば良いと考えています。

 

―――☆☆―――☆☆―――

 

 

 

福井一准税理士事務所

 

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