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2014年3月 5日 (水)

返還不要な入居保証金等はいつの収益?

法人・個人にかかわらず店舗等の賃貸を行っている場合に受け入れる敷金、保証金等について、次のような契約を締結することは多いと思います。

 

 
 

契約の解除または終了により借り主が貸し主に契約に定める義務を完全に履行して物件を明け渡した場合に、貸し主は第○項の保証金より償却費として解約時○%相当額を差し引き、返還するものとする。

 

 

上記の場合、「償却費として解約時○%相当額」は返還不要となることから収入(所得税)または益金(法人税)に算入されることになりますが、その計上時期については実務上、解約時ではなく貸付開始時とされています。

通達等でその取扱いの詳細を見てみます。

 

1.所得税について

所得税基本通達36-7、36-6より次のように要約できます。

 
 

不動産等の貸付けをしたことに伴い敷金等の額のうち、不動産等の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合、その返還を要しないこととなっている部分の金額は(貸付不動産の)引渡しのあった日または契約の効力発生の日の属する年分の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入する。

 

 

原則として引渡日、特例として契約の効力発生日としていますが、実質的に貸付開始時の収入金額とされます。

 

2.法人税

法人税基本通達2-1-41で次のように述べています(要約)。

 
 

資産の賃貸借契約等に基づいて保証金等として受け入れた金額であっても、その金額のうち賃貸借契約等の終了前における一定の事由により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 

 

この場合において「解約時○%相当額は返還不要」がいつ返還しないこととなった日となるかについては同じ判断を示した多くの裁判例がありますが、ここでは裁決ですが比較的新しい平成22年10月18日において過去の判例を基に示された判断より紹介します。

 

 
 

資産の賃貸借契約に基づき賃貸人が収受した敷金の一定部分について賃借人に返還しない旨約定されている場合には、賃貸借契約締結当初において、その返還しない部分の金員は、賃貸人において、これを自己の所有として自由に処分することができる趣旨の金員として授受されたもの、すなわち一種の権利の設定の対価として返還されない確定収入となる。

 

 

このことから実務上、その権利金等(返還不要保証金等)を収受した日または貸付を開始した日の属する事業年度の益金の額としています(平成10年版法人税質疑応答集 大蔵財務協会より)。

 

3.消費税

法人税基本通達とほぼ同様の消費税基本通達9-1-23で次のように述べています(要約)。

 

 
 

資産の賃貸借契約等に基づいて保証金等として受け入れた金額であっても、その金額のうち賃貸借契約等の終了前における一定の事由により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する課税期間において行った資産の譲渡等に係る対価となるのであるから留意する。

 

 

上記1、2と同様の解釈をしています。

従って、「事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金又は更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として」貸付を開始した日の属する課税期間における課税対象となります(注)。

 

(注)この段落カギ括弧部分は、国税庁タックスアンサー 地代、家賃や権利金、敷金など より

 

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不動産所得の総収入金額の計上時期 シリーズ 目次 

 

その1 賃貸料収入

 

その2 係争等がある場合の賃貸料収入

 

その3 権利金、更新料等

 

その4 返還を要しなくなった敷金等

 

 

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福井一准税理士事務所

 

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