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2014年7月15日 (火)

権利者の表示がない動産の書面によらない贈与の時期について

贈与契約書等の書面を作成せずに父から贈与を受けた金地金について贈与を受けた時期は、これを売却したときとする原処分庁とその何年も前に贈与を受けたとする請求人(受贈者である子)の争いについて国税不服審判所の裁決が公開されています。

 

平成25年10月7日裁決

 

審判所は原処分庁の主張を認めましたが、その判断等については実務上参考になると思いましたので概略を紹介します。

 

民法で贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる(民法549条)が、書面によらない贈与は履行の終わった部分を除き各当事者が撤回することができる(民法550条)としています。

 

この贈与による贈与税の納税義務は、死因贈与を除き贈与による財産の取得時に成立します(国税通則法第15条)。

そして相続税法上贈与による財産取得の時期は、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時と解されます(相続税法基本通達1の3・1の4共-8)。

 

審判所は権利者表示のない動産の書面によらない贈与の履行の時について、次のように述べました(そのまま引用)。 

 

金地金のような権利者の表示がない動産を書面によらない贈与によって取得した場合、その履行の時については、特別な事情が認められない限り、受贈者が当該動産を自己の財産として現実に支配管理し自由に処分することができる状態に至った時と解するのが相当である。 

 

このケースでは、贈与者である父は一度渡した金地金の返還を求めることがあり、受贈者である子としては返還を求められれば従わざるを得なかったと答述等をしていました。

このような事情や人的関係等から、仮に売却の何年も前の時期に金地金を父から受け取っていたとしても、それは贈与者の父の思惑によりいつでも返還を求められる可能性を含むものであって、受贈者である子はいまだその金地金を自己の財産として現実に支配管理し自由に処分できる状態に至ったものとはいえず、贈与があったとしてもその履行があったものとまではいえないとしました。

また、受贈者が主張する贈与時期に贈与税の申告もなかったとのことです。

 

審判所は、その金地金を売却し、売却代金を受贈者である子等の名義で預金したときに、父からのこの金地金の贈与が履行され、受贈者がこの金地金を自己の財産として現実に支配管理し自由に処分できる状態に至ったことは明らかであるとし、金地金の売却の日に贈与により取得したと判断しました。

 

 

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