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2014年7月28日 (月)

書面によらない死因贈与があったときの税務事例(その2 相続の開始があったことを知った日とは)

書面によらない死因贈与があった場合で和解により財産を取得した者の「相続の開始があったことを知った日(相続税法第27条第1項)」について 平成25年6月4日裁決  で国税不服審判所は和解の日を相続の開始があったことを知った日としました。

以下、その裁決についてまとめたもので、やや長文です。

 

(前段の和解等については その1 民事裁判における和解まで を参照して下さい)

 

2.請求人の申告内容について

請求人は平成23年12月24日、死因贈与により取得した財産の価額をK銀行g支店の定期預金のうち8,500万円、これに既経過利子の額を加算した金額を取得財産の価額として、請求人の課税価格及び納付すべき相続税額を計算し、相続税の申告をした。

 

3.原処分庁の処分

平成24年1月31日付で、上記申告書の提出により納付すべき税額を基礎として、国税通則法第66条第1項及び第2項に基づき、無申告加算税の賦課決定処分をした。

 

4.争点「相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」に提出された期限内申告書であるか否かについて、それぞれの主張

(1)原処分庁

相続人との間に死因贈与契約の効力に係る争いがあって訴訟が係属中であっても、相続税法上租税債権の成立を妨げるものではなく、また、死因贈与の効力発生時期は贈与者の死亡時である。

そうすると、請求人が被相続人の死亡を知った平成21年2月19日(被相続人が平成21年1月某日に(推定)死亡したとの連絡を警察から受けた日)が、「相続の開始があったことを知った日」であり、申告書は期限後申告書である。

 

(2)請求人

請求人と被相続人との間の死因贈与契約に係る契約書は存在せず、また、相続人は書面で死因贈与契約を撤回している。このため、この訴訟において、裁判上の和解が成立するか、死因贈与契約が書面による贈与であると認定する判決が確定しない限り、請求人は被相続人の財産を取得することはできず、納付すべき税額等も確定しない。

そうすると、請求人が「相続の開始があったことを知った日」とは、和解が成立した日(平成23年12月某日)であり、申告書は期限内申告書である。

 

5.審判所の判断

(1)法令解釈

「相続の開始があったことを知った日」とは、自己のために相続の開始があったことを知った日を意味するものと解される。

 

(2)当てはめ

()和解においては、この死因贈与が書面によるものか否かについては明らかにしていないが、請求人が裁判所に提出した各書証の客観的な記載などからみて、この死因贈与は、書面によらないものとみるのが相当である。

()書面によらない贈与は、その履行が終わるまでは各当事者が自由にこれを撤回することができる(民法第550条)ため、それまでは目的財産は確定的に移転しておらず、いわば法律関係は当事者間で浮動の状態にある。

そうすると被相続人と請求人との間で全財産に係る死因贈与契約が成立していたとしても、被相続人の唯一の相続人がこの死因贈与契約の存在を知れば、これを撤回する可能性が極めて高かったことが推認された。

実際、この相続人は、死因贈与契約が不成立である旨を主張し、予備的にこの死因贈与契約を撤回する旨を主張していた。

そうすると、和解成立前においては、被相続人の全財産を死因贈与により取得したとする請求人の権利は、極めてぜい弱なものであったといえることから、和解の成立前において請求人が自己のために相続の開始があったことを知ったものとは認められない。

() 和解により、請求人は、預金についてのみ死因贈与により取得したことは、相続人が、全財産についての死因贈与契約の一部を撤回して、和解により一部撤回後の死因贈与契約の履行が確定したと認めるのが相当である。

そうすると、請求人が自己のために相続の開始があったことを知ったのは、和解により死因贈与契約の履行が確定した日である平成23年12月某日というべきであり、同様に同日を相続税法第27条第1項に規定する「相続の開始があったことを知った日」とするのが相当である。

 

 

 

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