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2014年8月 5日 (火)

養子となった者の養子縁組前の子と代襲相続

被相続人の養子で以前死亡した者に実子がいる場合でも、その実子が養子縁組前に出生していたときには代襲相続人にはならず、相続税法第15条第2項の相続人の数(以下、「法定相続人の数」とします)にも含まれないとする判決が出ています(東京地方裁判所平成24年(行ウ)第403号 平成25年5月30日民事第2部判決)。

 

これまで実務でも上記の通り取り扱っており、このブログでも同様のことを 養子の子供と直系尊属 にて書きました。

 

この判決では特殊な点として今回の相続人は全て被相続人の配偶者の連れ子養子であったことがありました。

 

まず、その当事者等は次のとおりです。

 

・被相続人M 平成21年1月1日死亡(今回の相続開始)

・Mは配偶者亡Q(昭和57年4月17日死亡)の各連れ子A、B、C、亡Nと平成15年10月8日に養子縁組しており、実子はなし

・亡Nは平成20年9月15日に死亡

・亡Nには実子T(昭和55年出生)とU(昭和57年出生)がいる

 

今回取り上げる争点は、TとUが亡Nの代襲相続人として法定相続人の数に含まれるか否かですが、民法上の解釈について東京地裁は過去の判例を引用して次のように述べました(そのまま引用します)。

 

 

民法727条は,養子と養親及び「その血族」すなわち養親の血族との間においては,養子縁組の日から,血族間におけるのと同一の親族関係を生ずると規定しているにとどまり,養子の血族と養親との間において親族関係を生ずる旨を規定しているものではないし,また,同条は,養子と養親との間における親族関係は「養子縁組の日から」生ずると規定しているにとどまり,養子と養親との間における親族関係が養子縁組の日よりも前に遡って生ずる旨を規定しているものでもないのであって,このような同条の規定に照らすと,養子の養子縁組前の子は,養親と養子との間の養子縁組により,養親との間において親族関係を生ずるものではなく,養親の直系卑属となるものではないというべきである(大審院昭和6年(オ)第2939号同7年5月11日第四民事部判決・民集11巻1062頁参照。なお,これに対して,養子の養子縁組後の子は養親の直系卑属となるものであると解される。)。  

 

さらに「被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者は実子とみなす」とする相続税法第15条第3項第1号の規定より、実子とみなされた者の子なので代襲相続人となるであり法定相続人の数に含めるべきだとする原告側の主張についても、次のとおり否定しました(要約です)。

 

 

同号は,相続税及び贈与税について、税額の計算の方法等や納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定める相続税法の中に置かれているものであり,民事実体法上の身分関係について定める民法等の中に置かれているものではないのだから,同号は,相続税法上の「法定相続人の数」を決定するについて、連れ子養子となった者を実子とみなす旨を規定しているにとどまり,民事実体法上の身分関係において連れ子養子となった者を実子とみなす旨を規定しているものではないというべきであって,同号の規定により養子となった者の養子縁組前の子が養親の直系卑属となるものと解することはできない。  

 

結果、法定相続人の数には、TとUは含まれず、A、B、Cの3人(注)であるとしました。

 

(注)養子であっても連れ子養子は全員が法定相続人の数に含まれます(前掲の相続税法第15条第3項第1号より)。

 

参考 → 連れ子養子と法定相続人の数

 

 

 

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