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2014年9月29日 (月)

土地の時効取得と弁護士費用等

土地等を時効取得したときは一時所得課税となりますが、これについては次の国税庁タックスアンサーにもあります。

 

土地等の財産を時効の援用により取得したとき

 

ここから抜粋すると、土地等の財産を時効の援用により取得したときの一時所得の金額は次の計算によります

 

「時効取得した土地等の財産の価額(時価)」-「土地等の財産を時効取得するために直接要した金額」-「特別控除額(最高50万円)

※課税の対象になるのは、上記金額の2分の1

 

この場合において、「時効取得を原因とする所有権移転登記手続を請求する訴訟」に係る弁護士費用及び和解金は「土地等の財産を時効取得するために直接要した金額」には含まれないとした裁決事例が公開されています(なお、過去の判決においても同様のものはありました)。

 

平成24年2月8日裁決

 

この裁決では、一時所得の金額の計算上控除する「その収入を得るために支出した金額(所得税法第34条第2項)」とは、一時所得の収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限るとした上で、次のように判断して事例における弁護士費用等は控除できないとしました(そのまま引用)。

 

 
 

時効取得による一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できる金額は、取得時効の援用の意思表示を相手方へ明らかにするために直接要した費用のみであり、本件支払は、登記の変更を求めるためのもので取得時効の援用の意思表示を明らかにするために直接要した費用とは認められない

 

 

注目すべき点は、土地等の財産を時効取得するために直接要した金額とは「取得時効の援用の意思表示を相手方へ明らかにするために直接要した費用のみ」と判断した点でしょう。

 

なお、民法における取得時効及びその援用に関する規定は次のとおりです。

 

第162条(所有権の取得時効)

20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

第145条(時効の援用)

時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

 

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2014年9月25日 (木)

相続税に関する裁決より生計を一にするとは

小規模宅地等の特例(措置法第69条の4)の適用に当たって被相続人と「生計を一にする」親族に該当するかどうかを巡る裁決事例が公表されています。

 

平20.6.26、裁決事例集No.75 645頁

 

この裁決で「生計を一にしていた・生計」について、下記のとおりの解釈が述べられています(以下、全て要約です)。

 

 
 

・生計を一にしていた

 

同一の生活単位に属し、相助けて共同の生活を営み、ないしは日常生活の資を共通にしている場合をいう

 

 

 

・生計

 

暮らしを立てるための手立てであって、通常、日常生活の経済的側面を指すもの

 

 

審判所は、被相続人と同居していた親族は、明らかにお互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、一般に「生計を一にしていた」ものと推認されるとしています(同内容は所得税基本通達2-47(2)にあります)。

 

一方、別居していた親族が「生計を一にしていた」ものとされるためには、少なくとも居住費、食費、光熱費その他日常の生活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にあったことを要するとしました。

 

そして、この裁決事例での別居の場合は、次のような理由により生計を一にしていたとはいえないとしました。

 

 
 

被相続人名義の普通預金口座からの出金は被相続人の入院費支払のためにされたものと認められ、また被相続人の預貯金は同人の財産であって相続人の一存で処分したことはないことからすれば、被相続人名義の普通預金口座から出金した現金をいったん相続人手持ちの現金と合わせ、その後に入院費を支払っていたとしても、それをもって日常生活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしている関係にあったと認めることはできない。

 

 

 

相続人は、被相続人の入院中、毎日のように植木の面倒、郵便物の確認等、被相続人居宅の管理を行っていたとしても、これは生活の場を別にしている親子間の通常の助け合いであって、必ずしも生計を一にしているかどうかの判断に直接結びつく行為とは認められない。

 

 

 

この裁決における「生計を一にする」の解釈等は、相続税だけでなく所得税などでも参考になるものだと思います。

 

 

 

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2014年9月18日 (木)

住宅借入金等特別控除と居住用財産の譲渡所得の3千万円控除

最近、居住用財産を譲渡したときの短期譲渡所得で譲渡益が発生する事例がありました。

この事例では関係がなかったのですが、次の留意点を思い出しました。

 

短期譲渡所得でも適用のある措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の3千万円控除(以下、「3千万円控除」とします)と措置法第41条の住宅借入金等特別控除の併用制限です。

 

これは居住年の前々年・前年、居住年及び居住年の翌年・翌々年(居住年を真ん中に5年間)において3千万円控除の適用を受けた場合には、居住年から10年間(適用可能な全期間)について住宅借入金等特別控除の適用を受けることができないというものです(措置法第41条第15項、16項)。

 

ただし、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が居住年の翌年または翌々年に3千万円控除の適用を受ける場合には、その譲渡をした日の属する年分の所得税の確定申告期限までに、その前年分又は前々年分の所得税についての住宅借入金等特別控除を取りやめる修正申告書または期限後申告書を提出し、かつ、期限内に納付しなければならないとされています(措置法第41条の3第1項)。

なお、この場合には期限内申告があったとみなされ(措置法第41条の3第3項第1号、第4項第1号)、これらの申告がない場合には、所轄税務署長は、住宅借入金等特別控除を取りやめる更正または決定を行うこととされています(措置法第41条の3第2項)。

 

結局、過年分の住宅借入金等特別控除を取りやめることにより3千万円控除の適用を受けることができるわけです。

 

注意すべき点は、これらの取扱いは3千万円控除が優先されて住宅借入金等特別控除は取り消されるものと解されることです。

従って、この併用制限を失念して住宅借入金等特別控除の適用を受けていた者が居住年の翌年または翌々年に居住用財産の譲渡所得の3千万円控除の適用を受ける申告をした場合には、後日3千万円控除を取りやめる修正申告は認められないものと解されます。

 

この様なケースでは譲渡益の多寡でどちらが有利か判定した上で3千万円控除が不利なのであれば、うっかりその適用を受ける申告をするということのない様にしなければなりません。

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2014年9月12日 (金)

交際費等と飲食費、接待飲食費

平成26年度税制改正により、法人が平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等(下記1参照)の額のうちの損金算入限度額として、接待飲食費(下記3参照)の額の50%相当額が設けられました(措置法第61条の4第1項)。

ただし、その事業年度終了の日における資本金の額が1億円以下であるもの(普通法人のうちその事業年度終了の日において資本金5億円以上の法人との間に完全支配関係等があるものを除きます)については、年800万円との選択適用となります(措置法第61条の4第2項)。

 

この交際費等の取扱いを理解するためには、交際費等・飲食費・接待飲食費といった用語を理解する必要がありますが、これらは措置法第61条の4第4項で次のように定義付けされています。

 

1.交際費等

交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待等のために支出するもののうち、次に掲げる費用を除いたもの。


(1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用


(2)飲食費(下記2参照)のうち、1人当たりの支出金額が5千円以下の費用(措置法施行令第37条の5第1項)。

ただし、次の事項を記載した帳簿書類(措置法施行規則第21条の18の4)を保存している場合に限り、適用する(同条第6項)。

一 飲食等のあった年月日

二 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名等とその関係

三 飲食等に参加した者の数

四 その飲食費の額、その飲食店・料理店等の名称、所在地

五 その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項


(3)次の費用(措置法施行令第37条の5第2項)

・カレンダー、手帳等を贈与するために通常要する費用

・会議に関連して、茶菓、弁当等の飲食物を供与するために通常要する費用

・新聞、雑誌等、放送番組の編集、その他記事の収集・取材に通常要する費用

 

2.飲食費

飲食その他これに類する行為のために要する費用。ただし、専らその法人の役員、従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するもの(社内接待費)を除く。

 

3.接待飲食費

上記2の飲食費で、その旨につき帳簿書類に上記1(2)一、二、四、五が記載されること(措置法施行規則第21条の18の4)により明らかにされているもの。

 

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法令通達等による交際費等の隣接費用の例示シリーズ 目次 

 

(このエントリーも含みます)

 

 

 

その1 広告宣伝費

 

 

その2 寄附金

 

 

その3 得意先に対する売上割戻し等

 

 

 

その4 特約店の従業員等に対する売上割戻し等

 

 

 

その5 販売奨励金等と情報提供料等

 

 

 

その6 現地案内費用等と業務委託費用等

 

 

 

その7 福利厚生費と給与等

 

 

 

その8 会議費

 

 

 

交際費等と飲食費、接待飲食費

 

 

 

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2014年9月 7日 (日)

相続人不存在のときに遺贈を受けた場合の課税関係

このところ同じような質問を受けました。基本的な内容とも思いますが、このブログに書いて差し支えない内容なのでご紹介します。

 

 
 

被相続人甲に相続人はおらず、遺言により全ての財産を内縁関係にあるAに遺贈することにしていた。

 

被相続人甲が死亡し、Aが全財産を遺贈により取得した場合の課税関係について教えてほしい。

 

 

まず、Aが遺贈により取得した財産は全て相続税の課税対象となります(相続税法第1条の3)。

相続税を計算する場合の遺産に係る基礎控除額は下記の算式により計算します(相続税法第15条第1項)が、相続税法第15条第2項、第3項に定める相続人の数(以下、「法定相続人の数」とします)が0人の場合には5千万円(注 3千万円)となります(相続税法基本通達15-1)。

 

(注の括弧書きの金額は、平成27年1月1日以後に開始した相続に係る相続税の場合で、以下同じです)

 

ただし、相続の放棄があったために相続人がいない場合には、その相続の放棄をした者は法定相続人の数に含まれるため(相続税法第15条第2項)次の計算となり、後述する相続税の総額の計算等も異なる場合があります。

5千万円(注 3千万円)+1千万円(注 6百万円)×相続の放棄をした者の数

 

Aが遺贈により取得した財産の課税価格の合計額が上記の遺産に係る基礎控除額以下であれば相続税は課税されません(課税関係は生じません)。

なおAは被相続人の親族ではないので、この事例では相続税の課税価格の計算に当たって小規模宅地等の特例の適用はありません(措置法第69条の4第3項)。

 

Aが遺贈により取得した財産の課税価格の合計額が上記の遺産に係る基礎控除額を超える場合には相続税法第16条の相続税の総額を計算することになります。

 

相続税の総額は、相続税の課税価格の合計額からその遺産に係る基礎控除額を控除した残額を法定相続人の数に応じた者が民法で定める相続分に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額に対して相続税の速算表により計算した金額を合計した金額とすることが原則です。

ただし、この事例のように法定相続人の数が0人の場合には、遺産に係る基礎控除額5千万円を控除した残額に速算表を適用して計算した金額が相続税の総額となり(相続税法第16条括弧書き)、相続税法第17条により計算したAの相続税額もこの相続税の総額と同額となります。

そしてAは被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者であるため、相続税法第18条の相続税額の2割加算の適用を受けます。


以上が一般的に考えられる回答だと思いますが、実務では実際の事例に沿ってその他の事項も検討することになります。

 

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