同族法人へ低額譲渡したことによるみなし贈与に関する判決
本人と子・孫が株主である同族法人である株式会社へ、他の同族法人の出資等を低額譲渡した結果、株式の価値が増加した部分がみなし贈与に当たるとした東京高等裁判所の判決が公開されています。
納税者側は、次のような主張でした(要約)。
低額での現物出資のような資本等取引が行われた場合には、株主間での経済的利益つまり含み益の移動が生じ,これによって株主の所有株式の価額が直接影響を受けて増加する。これに対し,相続税法では,個人が所有する資産に評価益が生じても,それだけの理由で贈与税を課税されることはないところ,このような個人資産の評価益が損益取引に基因して発生した場合も同様に課税をされるべきではない。 例えば個人甲が同族会社に低額での財産の譲渡をした場合に,同族会社の株主乙の所有する株式の評価益は会社の資産等の増加に伴って株価が上昇したことによる反射的効果であって,経済的利益が甲から乙へと移動したとはいえない。 |
これについて東京高等裁判所は次のように判断して、みなし贈与を認めています(要約)。
控訴人らは,みなし贈与の対象となる相続税法9条の「利益」は資本等取引に起因する利益であることを要し、低額での財産の譲渡のような損益取引による利益はこれに当たらないと主張する。 しかし,次のような趣旨から相続税法9条の「利益」が法文上その発生原因となる取引を限定していると解すべき理由はない。 ・同族会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合,その譲渡をした者とその会社やその株主等との間にそのような譲渡がされるのに対応した相応の特別の関係があることが一般である。 ・実質的にみて,その会社の資産の価額が増加することを通じて,その譲渡をした者からその株主等に対し,贈与があったのと同様の経済的利益を移転したものとみることができる。 ・従って、株式等の価額増加部分に相当する金額を贈与によって取得したものと解される。 |
なお、相続税法第9条のみなし贈与については、下記のエントリーを参照して下さい。
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(ふくい かずのり ぜいりしじむしょ)
所長 税理士 福井一准(現在 東京地方税理士会保土ヶ谷支部 副支部長)
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