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2019年5月27日 (月)

債務控除における確実な債務

被相続人が賃料未払のため生前に解除された借地契約の約定により相続人が負うこととなった建物を収去して土地を明け渡す債務は、債務控除の対象となると判断した裁決例が公開されています。

 

平成30年7月9日裁決

 

課税庁は、土地に係る明渡義務の金額は零円である。

また、建物に係る収去義務は、相続開始日において、必ずしも建物を収去する必要はなく、建物を地主承継人(地主が死亡していたため、引き継いだ相続人をいっています)に引き渡す方法が選択可能であったことから、その履行が確実な債務とは認められず、債務控除の対象とはならないとしました。

 

これに対して国税不服審判所は、まず下記の最高裁判決を引用しました(そのまま引用)。

 

相続税は、財産の無償取得によって生じた経済的価値の増加に対して課される租税であるところから、その課税価格の算出に当たっては、取得財産と控除すべき債務の双方について、それぞれの現に有する経済的価値を客観的に評価した金額を基礎とするものであり、ただ、控除すべき債務については、その性質上客観的な交換価値なるものがないため、交換価値を意味する「時価」に代えて、その「現況」により控除すべき金額を評価する旨定められている(相続税法第22条)ものと解される。これを弁済すべき金額の確定していない債務の評価についていえば、評価の対象となる債務は確実と認められるものに限る(相続税法第14条第1項)のであるから、このような弁済額未確定の債務は、弁済すべきことが確実と認められる金額の限度で相続税法第22条にいう取得財産の価額から控除すべき債務として評価の対象となるのであり、そのような金額の債務として評価した結果により、控除すべき金額が決まることとなる(最高裁昭和49920日第三小法廷判決・民集2861178頁)。

 

上記を踏まえ、次のとおり判断しました(そのまま引用)。

 

相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められる」債務とは、相続開始当時の現況に照らし、その履行が確実と認められるものをいうと解されるところ、本件債務は、本件相続開始日に現に存し、その履行を免れないものであるから、履行が確実な債務であったと認めるのが相当であり、これを覆すに足る証拠は見当たらない。原処分庁が述べるところは、確実な債務についての履行手段をいうものであって、これは本件相続開始日後の事情というほかなく、相続税法第22条が控除すべき債務の金額はその時の現況による旨規定している趣旨に照らし、採用できない。

 

なお、「原処分庁が述べるところ」とは「必ずしも建物を収去する必要はなく、建物を地主承継人に引き渡す方法が選択可能であったこと」をいっています。

 

参考までに関連法令等は下記のとおりです。

 

相続税法第14条第1項

前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。

 

相続税法第22条

この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

 

相続税法基本通達14-

債務が確実であるかどうかについては、必ずしも書面の証拠があることを必要としないものとする。

なお、債務の金額が確定していなくても当該債務の存在が確実と認められるものについては、相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけを控除するものとする。

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福井一准税理士事務所

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