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2019年9月 9日 (月)

国税庁長官の指示を受けて評価した相続財産の価額(その2 裁決から見る特別の事情)

国税庁長官の指示を受けて評価した相続財産の価額(その1 裁決から見る解釈) の続きです。

 

平成29年5月23日裁決

 

この裁決事例では、評価通達によらないことが相当と認められるような特別の事情として、どのように判断したのか。

 

まず、次の事実認定を挙げています(要約、一部書き換え)。

 

1.被相続人が借入れを申し込んだ際に、R銀行の担当者は、それぞれ「貸出稟議書」と題する書面を作成した。

その各書面には「採上理由」として相続対策のため不動産購入を計画、購入資金につき借入れの依頼があった旨及び相続対策のため本年1月に不動産購入、前回と同じく相続税対策を目的として収益物件の購入を計画、購入資金につき借入れの依頼があった旨の記載があり、被相続人は借入れを申し込むに際し、R銀行との間で、借入れの目的が、相続税の負担の軽減を目的とした不動産購入の資金調達にあるとの認識を共有していた。

 

2.一件の不動産通達評価額は、この取得価額及び不動産鑑定評価額のそれぞれ約23.9%、約26.5%の価額である。

 もう一件の不動産通達評価額は、この取得価額及び譲渡価額並びに不動産鑑定評価額のそれぞれ約24.3%、約26.0%、約25.8%の価額である。

 

この事実を次のように当てはめています(要約、一部書き換え)。

 

1.各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、各通達評価額と鑑定評価額との間に著しい乖離のある不動産を借入金により取得し、相続税申告において評価通達に定める評価方法により評価することにより、借入金債務合計額が不動産はもとよりほかの積極財産の価額からも控除され、本来負担すべき相続税を免れるという結果をもたらすこととなる。

 

2.被相続人の各不動産の取得の主たる目的は相続税の負担を免れることにあり、各不動産の取得により本来負担すべき相続税を免れることを認識した上で、各不動産を取得したとみることが自然である。

 

3.これは、同様の軽減策を採らなかったほかの納税者との間の租税負担の公平はもちろん、被相続人が多額の財産を保有していないため、同様の軽減策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での実質的な租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反する著しく不公平なものであるといえる。

 

そして、次のように結論づけています(要約、一部書き換え)。

 

各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、相続税の目的に反し、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであることから、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められる。

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