2019年7月18日 (木)

配偶者居住権の消滅による課税関係

令和2年4月1日より民法において配偶者居住権が新設されますが、その消滅に係る課税関係がどうなるのか注目されていました。

この度、相続税法基本通達9-13の2が新設され、配偶者居住権の消滅に係る課税関係が明らかになりました。

 

これによると、次の場合において対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で消滅させたときは、建物又はその敷地所有者はその利益相当額をその配偶者居住権を有した者から贈与で取得したものとみなす(相続税法第9条)こととされました。

・建物所有者との合意による解除

・配偶者による配偶者居住権の放棄

・配偶者が善管注意義務違反又は承諾無しに建物の増改築をした場合において、建物所有者の是正の催告に応じないときの、建物所有者の意思表示による消滅

 

この通達のさらに重要な部分が注書で、次の場合は上記相続税法第9条の適用はないとしています。

・期間満了による消滅

・配偶者の死亡による消滅

・建物の滅失その他の事由による消滅

 

配偶者の死亡による配偶者居住権の消滅については課税関係が生じないことから、配偶者居住権を有する者の相続に係るその配偶者居住権の相続税の課税価格に算入する金額は0円ということになるようです。

 

なお、配偶者居住権の存続期間は、民法第1030条において次のとおり規定されています。

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。

 

(参考)相続税法基本通達新旧対照表

新旧対照表別紙1(PDFファイル/337KB

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2019年6月28日 (金)

駐車場の舗装等を贈与したことによる所得の帰属

アスファルト舗装やフェンスといった設備を施し駐車場として貸していた父が所有する土地について、その駐車場設備を子に贈与するとともに土地の名義はそのままで子に使用貸借する契約をして、その駐車場に係る所得が子に帰属するとしたことについて、国税当局が父に帰属するものとした処分を不服として争った裁決が公表されています。

 

平成30年10月3日裁決

 

国税不服審判所は、贈与契約及び土地使用貸借契約について、請求人()がその意思に基づいて各契約書に署名・押印したものと認められるものの、次のような事実から、各契約が有効に成立したと認めることはできないとして、駐車場に係る所得は父に帰属するものと判断しました。

 

1.各契約書の作成目的は、父の相続対策の一環として、その所有不動産から生ずる賃料収益の一部を親族間で分散し、租税負担を軽減させることにあった。

その目的の下、土地の所有権を父に留保したまま、その使用収益権原のみを相応の対価を発生させることなく他に移転する方法として、子への土地の使用貸借及び駐車場設備の贈与という形式が採られたものと認められる。

これは次の理由による。

・父は契約当時、高齢であったこと

・各契約書の作成をはじめとした一連の取引行為については、子が父の相続対策の相談をしていた税理士法人が企図したものであること

・各契約書の書式もその税理士法人が作成したものと認められること

・契約の前後において、その駐車場としての利用状況や不動産管理会社を介しての管理状況自体に特段の変化が認められないこと

 

2.次の事実から、父は、調査の時点において、実際にも、駐車場の収入を契約以後、子が申告することとなった具体的な事情やその原因とされる契約書の作成事実を認識していなかったものと認められる。

・調査担当職員の質問に対し、駐車場の収入を契約以降、子が申告することとなった経緯等の詳しいことは分からない旨の回答をしたこと

・使用貸借契約書を知らない旨、また、契約書に印鑑を押印した記憶もない旨申述したこと

・後日、調査担当職員が電話で父に使用貸借契約書の提示を求めた際にも、契約書に印鑑を押印した記憶はなく手もとにもない旨の回答をしたこと

・子の妻を介して契約書の写しが調査担当職員に提出された後、子同席の下で行われた調査の際にもなお、土地の賃料収益を子が申告することとなった事情等の詳細は「分からない」などと回答したこと

・原処分調査の際、父は、子がその居住用として利用している不動産については、固定資産税等を負担した上で子に無償で貸している旨明確に回答していたところ、駐車場に係る契約書の作成についてのみ、あえて虚偽の申述を行わなければならない動機が父にあったとも認められないこと

 

3.次の理由により、父は、その内容を知らされないまま、税理士法人が作成した各契約書への署名・押印を子から求められ、その記載内容を一切確認しないままこれに応じたことが強く推認される。

・1に記したとおり、土地を巡る一連の取引行為は、子から相続対策の相談を受けていた税理士法人が企図したものであること

・1に記したとおり、各契約書の書式も税理士法人が作成したものと認められること

・父は原処分調査の際、税理士から助言を受けていた子から言われるままに申告を行った旨申述していたこと

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2019年4月23日 (火)

平成31年(2019年)分の路線価図等

平成31年(2019年)分の路線価図等は、7月1日(月)より公開の予定です。

 

平成31年(2019年)分の路線価図等の公開予定日について

 

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2018年10月 5日 (金)

地積規模の大きな宅地の評価のポイント

 

先日受けた研修「地積規模の大きな宅地の評価の適用についての実務上の留意点」についての備忘録です。

 

平成30年1月1日以後の相続または贈与により取得した場合に適用できる地積規模の大きな宅地の評価(財産評価基本通達20-2)のポイントは以下のとおりです。

 

 

 

1.地積基準

 

(1)三大都市圏・・・500㎡以上

 

(2)上記以外・・・・・1,000㎡以上

 

<留意点>

 

広大地の適用可能であったミニ分譲は除かれる。

 

 

 

2.適用できる地区

 

(1)普通商業・併用住宅地区

 

(2)普通住宅地区

 

(3)市街化調整区域で宅地開発が可能な宅地または地域

 

<留意点>

 

広大地の適用可能であった中小工業地域は除かれる。

 

正面路線価が2以上の地区にわたる場合は、過半の属する地区で判定する。

 

 

 

3.容積率基準

 

指定容積率(建築基準法第52条第1項)400%(東京23区内は300%)以上は除外

 

<留意点>

 

個別容積率で判定しない。

 

対象地が2以上の異なる容積率にまたがる場合は、指定容積率を面積割合により加重平均して求めた容積率で判定する。

 

 

 

4.開発道路は必要要件ではない。

 

<留意点>

 

路地状開発地や奥行の浅い宅地も適用可能。

 

 

 

5.「現に宅地として有効活用されていない」という要件はない。

 

<留意点>

 

敷地上にどのような建物が建っていても適用可能。

 

 

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2018年9月27日 (木)

贈与税が非課税となる生活費等の贈与(通達等のまとめ)

 

扶養義務者(1)間における生活費(2)(4)や教育費(3)(4)に充てるための贈与財産で通常必要と認められるもの(5)は、贈与税の非課税財産とされています(相続税法第21条の3)。

 

上記番号の意義等は下記のとおりです。

 

 

 

(1)扶養義務者

 

配偶者、直系血族、兄弟姉妹、その他一定の三親等内の親族(相続税法第1条の2第1号、相続税法基本通達1の2-1)。

 

 

 

(2)生活費

 

通常の日常生活を営むのに必要な教育費以外の費用。

 

治療費、養育費等を含むが、これらのうち保険金や損害賠償金により補てんされた金額は除く(相続税法基本通達21の3-3)。

 

 

 

(3)教育費

 

扶養される者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等。

 

留意点として、義務教育費に限らないことがある(相続税法基本通達21の3-4)。

 

 

 

(4)生活費、教育費の取扱い

 

非課税となるのは、生活費や教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与された財産である。

 

したがって、生活費や教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合や株式や家屋の買入代金に充当したような場合、これらの預貯金や買入代金等の金額は非課税とはならない(相続税法基本通達21の3-5)。

 

 

 

(5)通常必要と認められるもの

 

扶養される者の需要と扶養する者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産(相続税法基本通達21の3-6)。

 

 

 

 

 

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2018年7月 9日 (月)

名義預金とその贈与の有無について

 

被相続人の子供名義の定期預金が名義預金として相続税の課税対象となる相続財産であるか、生前に子供に贈与したものであるかについての裁決が公表されています(国税不服審判所平成27年10月2日裁決・裁決事例集101号)。

 

この裁決事例は国税不服審判所サイトには掲載されていませんが、税大ジャーナル2017.7の裁決評釈で取り上げられており、ここから抜粋しました。

 

 

 

家族名義預金は贈与されたものであるから、相続財産には当たらないなどと主張したが、それらの主張が認められなかった事例(平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却)

 

 

 

審判所の判断基準は下記のとおり(そのまま抜粋)ですが、同様の判断基準は何度も示されています。

 

 

 

 

相続財産である預貯金等の帰属については、一般的にはその名義人に帰属するのが通常であるが、預貯金等については別の名義への預け替えが容易にできることから、単に名義人が誰であるかという形式的事実のみにより判断するのではなく、その原資となった金員の出えん者、その管理、運用の状況、贈与の事実の有無等を総合的に勘案して預貯金等の帰属を判断するのが相当であると解される。

 

 

 

 

審判所は、定期預金の預入経緯と原資の出捐者、通帳と印鑑の管理状況、定期預金の贈与の有無について検討し、相続財産であると判断しました。

 

このうち、定期預金の贈与の有無については次のように述べています(要約)。

 

 

 

 

被相続人が実際に子供に住宅資金の贈与をしたときは、子供が使用している普通預金口座等に直接資金を振り込む方法により贈与している。

 

しかし、この定期預金については、受贈者である子供がその資金を自由に処分できる状況であったにもかかわらず、各通帳及び各印鑑は、相続の開始日まで一貫して被相続人の下で管理され、子供らの処分可能な状況になかった。

 

上記の通り全く異なる事実から、被相続人が、各定期預金を子供らに贈与していたと認められないと判断した。

 

 

 

 

 

 

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2018年1月19日 (金)

平成30年度税改正大綱より相続税申告書の添付書類

自民・公明両党より、平成30年度税改正大綱が公表されました。

 

 

 

平成30年度税制改正大綱(自民党サイト)

 

 

 

大綱では、相続税申告における添付書類について次の改正が出ています。

 

 

 

 

 

 

相続税の申告書の添付書類として提出できる書類の範囲に、戸籍謄本を複写したもの等の被相続人の全ての相続人、当該相続人の法定相続分及び当該相続人が被相続人の実子又は養子のいずれに該当するかの別を明らかにする書類を加える。

 

(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に提出する申告書について適用する。

 

 

 

 

そのまま読むと、平成30年4月1日以後に提出する相続税申告書に添付する戸籍謄本については、これまで原本添付を求められていたものがコピーで良くなるというものです。

 

 

 

これについて、週間税務通信No.3489によると戸籍謄本に代えて法定相続情報一覧図の添付でも認められるよう検討されているようで、今後の成り行きに注目です。

 

(以下、税務通信No.3489より)

 

問題点として、法定相続情報一覧図には実子と養子の区別がないことがあり、今後この辺りを詰めていくようです。

 

また、法定相続情報一覧図の添付が認められても、以下の場合は別途書類が必要だと思われます。

 

・相続放棄をした場合

 

・被相続人や相続人の中に日本国籍を有さない者がいる場合(戸籍がない)等

 

 

 

 

 

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2017年11月13日 (月)

地積規模の大きな宅地の評価についての情報等

平成30年1月1日以後の相続等により取得する宅地等の評価については、地積規模の大きな宅地の評価(財産評価基本通達20-2)が新設されるとともに、広大地の評価(前・財産評価基本通達24-4)が廃止されました。

 

 

 

地積規模の大きな宅地とは、次のもの(2の除外されるものを除く)をいいます。

 

・路線価地域においては普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在する1の要件を満たすもの

 

・倍率地域においては大規模工場用地(財産評価基本通達22-2)に該当しないもので1の要件を満たすもの

 

 

 

1.要件

 

・三大都市圏 500㎡以上の地積のもの

 

・上記以外 1,000㎡以上の地積のもの

 

 

 

2.除外されるもの

 

・市街化調整区域(一定の開発行為を行うことができる区域を除く)に所在するもの

 

・都市計画法の用途地域が工業専用地域に所在するもの

 

・指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在するもの

 

 

 

上記の詳細や評価方法等について、国税庁サイトに情報が掲載されています。また、チェックシートや新しい土地等の評価明細書も掲載されています。

 

 

 

(概要)「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました

 

 

 

(詳細説明)「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報)

 

の中の地積規模の大きな宅地の評価

 

 

 

(チェックシート)「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシート

 

 

 

(評価明細書)土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(平成30年分以降用)

 

 

 

 

 

 

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2017年8月 1日 (火)

一体利用している宅地等の間に青地が入っている場合の相続税評価額

 

一体利用している宅地等の間に青地が入っている場合、この一体地の相続税評価額は、青地を含む宅地等を1つの単位として算出した評価額から、青地部分の価額を控除して評価するのが一般的です。

 

この方法は、次の国税不服審判所裁決でも採用されています。

 

 

 

平成28年12月7日裁決

 

 

 

上記裁決では、この場合の青地の価額は払下げ費用相当額であるとして、次のように述べています。

 

 

 

 

 

 

・青地部分の土地の売買が成立し得るのは請求人らと市の間に限定される。

 

・市が青地部分の土地を請求人らに売却した場合の売買代金である払下げ費用相当額は、国有財産評価基準によりその算定方法が画一的に決められていることからすると、青地部分の土地の価額については、相続開始日において青地が請求人らに払い下げられたとした場合の払下げ費用相当額とするのが相当である。

 

 

 

 

青地についての国有財産評価基準による払い下げ費用相当額の計算については、次の記事で紹介した裁決例が参考になります。

 

 

 

時効取得した旧水路等に係る一時所得の収入金額

 

 

 

 

 

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2017年7月 3日 (月)

平成29年分の路線価等発表

平成29年分の路線価や倍率等が記載された平成29年分財産評価基準が国税庁サイトにて公開されました。

 

 

 

平成29年分財産評価基準を見る

 

 

 

平成29年1月1日から12月31日までの間に相続等により取得した土地等の相続税評価額を計算する場合に利用してください。

 

 

 

 

 

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