2017年4月19日 (水)

日本国籍がない場合の贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上である配偶者から日本国内にある居住用不動産又はその取得のための金銭の贈与を受けた場合で一定の要件を満たすときは、受贈者のその年分の贈与税については、課税価格から最高2,000万円が控除される配偶者控除の適用を受けることができます(相続税法第21条の6第1項)

この特例の適用を受ける場合、贈与税の申告書等に一定の書類の添付が必要となります(相続税法第21条の6第2項)が、この書類のうち婚姻期間を証する書類として戸籍謄本又は抄本を添付しなければならないこととされています(相続税法施行規則第9条)。

 

しかし、日本国籍がない場合、戸籍謄本等が添付できません。そこで、下記の国税庁サイトの質疑応答事例 日本国籍を有しない者が受ける贈与税の配偶者控除に係る贈与税の申告書の添付書類 にて、これに代わる書類をケースに応じて次のとおりとしています。

 

               
 

ケース

 
 

戸籍謄本等に代わる添付書類

 
 

当事者の一方が日本人である場合で、その婚姻が日本国内で行われた場合

 
 

婚姻届の受理証明書又は婚姻届出書に基づく記載事項証明書

 
 

当事者の双方が外国人である場合で、その婚姻が日本国内で行われ、かつ、地方公共団体の戸籍係に婚姻届をしている場合

 
 

婚姻届の受理証明書又は婚姻届出書に基づく記載事項証明書

 
 

上記以外の場合

 
 

当事者の本国の戸籍謄本等公の機関においてその婚姻期間を証明する書類

 

(ただし、国交等がないためにこれらの書類が得られない場合、外国人登録済証明書など婚姻の事実、婚姻期間が確認できるもの)

 

 

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2017年4月18日 (火)

平成29年分の路線価公開日

平成29年分の路線価図等の公開予定日は、7月3日(月)と発表されました。

当日10時よりの公開となるそうです。

詳しくは下記参照。

 

平成29年分の路線価図等の公開予定日について

 

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2017年4月 7日 (金)

広大地に該当する市街地農地の評価と造成費

宅地の相続税評価額を計算する場合、その地域における標準的な宅地の地積より著しく地積が広大な宅地のうち、開発行為を行う場合に公共公益的施設用地(一般的には潰れ地となる道路)が必要な一定のものを広大地とし、相当の評価減を認めています(財産評価基本通達24-4)。

この広大地の評価は、市街地農地についても認められており、市街地農地が広大地に該当するときの価額は、財産評価基本通達40における「市街地農地の評価」の定めにかかわらず、財産評価基本通達24-4における「広大地の評価」の定めに準じて評価することとしています(財産評価基本通達40-2)。

 

この場合の留意点を挙げておきます。

 

通常、市街地農地の価額は、宅地である場合の価額から造成費を控除した金額により評価します(財産評価基本通達40)が、広大地として評価する場合は「財産評価基本通達40の定めにかかわらず」としていることから造成費の控除はしないと解されます。

 

この件について、国税庁サイトでの具体的な記載は、市街地山林等に関する質疑応答事例 広大地の評価の計算例(その2 の注意書き2で、下記の記載があります。

 

 
 

市街地山林等を広大地として評価する場合には、広大地補正率の中に宅地造成費等を考慮してあることから、宅地造成費を控除しないで評価します。

 

 

なお、財産評価基本通達40-3に定める「生産緑地の評価」(一般的には5%減)は、40-2又は40-3で特に外す定めのないことから、広大地にも適用があると解されます。 


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2016年12月15日 (木)

平成29年度税制改正大綱より資産税関連の主なもの

与党より 平成29年度税制改正大綱 が発表されましたが、その中から資産税関連の主なものを抜き出して要約しました。

 

1.相続税と贈与税の納税義務の見直し

・日本国籍で国内に住所を有さない相続人等が取得した国外財産が相続税・贈与税の課税対象外とされる要件

被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととする。

 

・取得した国外財産が相続税・贈与税の課税対象となる場合の追加

国内に住所を有さないが相続開始前10年以内には国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在をしていたものを除く)

 ↓ (国外財産が相続等により移転)

国内に住所も日本国籍も有さない相続人等

 

・これらの改正はいずれも平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

 

2.居住用超高層建築物に対して課する固定資産税等についての見直し

・高さが60mを超える超高層建築物のうち、複数の階に住戸が所在している居住用超高層建築物についての改正。

居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者にあん分する際に用いるその各区分所有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(階層別専有床面積補正率)により補正する。

 

・この改正は平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用する。

 

※タワーマンションについての改正です。固定資産税評価額の見直しであれば、これを基に評価する相続税、贈与税も影響を受ける改正となります。

 

3.取引相場のない株式の評価における類似業種比準方式についての見直し

・類似業種の上場会社の株価について、課税時期の属する月以前2年間平均を加える。

 

・類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。

 

・配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。

 

・評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。

 

・これらの改正はいずれも平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する。

 

4.広大地の評価について

・現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。

 

・この改正は平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する。

 

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2016年11月21日 (月)

贈与を受けた直後に譲渡した居住用財産について3,000万円控除の適用が受けられないとした事例

譲渡した建物に10年以上生活の拠点を置いていた子供で、さらに母からその建物と敷地を贈与により取得してから売買契約締結の日まで5か月間居住の用に供していた居住用財産について、措置法第35条の3,000万円控除の適用が受けられないとした裁決事例が国税不服審判所のサイトに掲載されています。

 

平22.6.24、裁決事例集No.79

 

審判所は次のように判断しました(要約)。

 

 
 

贈与の時点では、譲渡物件、譲渡価額及び手付金の額も決定しており、売買契約の締結に向けた細部の取決めをするだけの状況になったものと認められることから、この居住用土地建物は譲渡されることが予定されていたものといえる。

 

本人は、そのことを承知した上でこの土地建物の贈与を受けたものと認められるから、本人が母から居住用土地建物の贈与を受けて所有者となった日以降において、本人は、この居住用建物を、所有者として居住する意思を持って居住の用に供していたものとは認められない。

 

このことから、この建物は、措置法第35条第1項に規定する個人がその居住の用に供している家屋に該当しない。

 

 

なお、審判所は措置法第35条第1項の法令解釈について、次のように述べています。参考になると思いますので、条文番号を省いてそのまま引用します。

 

 
 

居住用財産を譲渡した場合には、譲渡者は再び居住用代替資産を取得する蓋然性が高いこと、通常の家屋であれば特別控除の額の範囲内で取得できるであろうとの配慮から、居住用財産の譲渡者が所得税の負担なくして普通程度の居住用代替資産を取得することを可能にする趣旨に出たものであり、この趣旨からすれば、譲渡者が当該家屋をその所有者として居住の用に供していたことを特別控除を認めるための要件とするものと解される。

 

また、特別控除について連年の適用を認めず、3年間に一度の適用を認めたにとどまることにかんがみると、同項の適用を受けるためには、自らが所有する家屋について、真に所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の拠点としていたことを要すると解すべきであり、その判定に当たっては、住居移転の経緯、居住の期間及び居住の態様等について総合考慮してこれを決すべきである。

 

 

この事例は税理士も入り、母から相続時精算課税制度の適用を受けて土地建物の贈与を受け、その後譲渡して3,000万円控除の適用を受けるというタックスプランニングを経た上で行ったものです。

事実認定の問題でもあるのですが、なかなか難しくて怖い事例だと思いました。


 

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2016年7月 1日 (金)

平成28年分の路線価発表

国税庁サイトにて平成28年分の路線価が公開され、ページレイアウトが少し変更されています。

 

http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm

 

現在依頼されている業務に関連する住宅地の路線価をいくつか見ましたが、東京(23区内です)はやはり上がっています。神奈川県も横浜市と川崎市は横ばいから上昇となっていました。


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2016年6月 7日 (火)

連年贈与と贈与税(文書回答より)

暦年贈与サポートサービスについての文書回答が、国税庁サイトに掲載されています。

 

暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法第24条の該当性について

 

このサービスは次のようなもので、契約期間は5年間とされています。

 

サービスを行う金融機関は、贈与をする人からサービス申込書等を受け取った上で贈与者に贈与契約書(雛型)を渡します。そして、贈与者は受贈者と贈与契約を締結し、金融機関はこれを受領して贈与金額を贈与者の口座から受贈者の口座に振り替えます。振替後に金融機関は一定の書類を送付するという仕組みです。

 

懸念されたのが、このサービスが定期金に関する権利(相続税法第24条)の贈与を受けたものとして贈与税が課税されないか(下記のサイトのQ1を参照)という点で、この点についての確認に対する回答です。

 

No.4402 贈与税がかかる場合

 

この回答では次の点から定期金に関する権利の贈与ではないと判断しています。

 

 
 

(要約)

 

・贈与とは、「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる(民法第549条)」こととされており、贈与者の贈与の意思表示だけなく、受贈者の贈与を受ける意思表示を必要とする双方合意で成立するものである。

 

・税務上、贈与による財産の取得時期については、「書面によるものについてはその契約の効力の発生した時(相続税法基本通達1の3.1の4共-8)」とされている。

 

・このサービスでは、その申込みは贈与者が行い、金融機関は、贈与の都度、贈与者・受贈者間の贈与の意思確認を行った上で、その双方合意による贈与契約の成立を証する贈与契約書に基づいて預金の振替を行う。

 

・つまり、このサービスの申込みによって贈与契約が成立するものではなく、サービス契約期間中の各年に締結される贈与契約の履行として行われるものであり、各贈与契約によって効力が生ずるものと考えられる。

 

・したがって、あらかじめ定期的に贈与することについて贈与者・受贈者双方の合意がなされている場合でない限り、このサービスを利用した贈与は、「定期金給付契約に関する権利」の贈与に該当しない。

 

 

なお、この贈与契約に係る贈与契約書(雛型)には、この贈与契約の締結に際し、あらかじめ定期的に贈与を行うことを約していないことを、贈与者及び受贈者は互いに確認した旨の記載がされているということです。

 

このサービスを利用するかしないかはさておき、連年贈与をする場合の実務上の留意点として捉えると、参考になる回答だと考えられます。


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2016年5月21日 (土)

借地権の対象となる建物が滅失した土地の相続税評価額

先日受講した資産税の研修からのネタです。もしこのような事例に当たったら間違えないようにしなければいけません。

 

40年ほど前に母が代表を務める同族会社にその母の土地を有償で貸し付け、その同族会社が建物を建てて第三者に貸し付けていたところ、その同族会社は諸般の事情でこの建物を取り壊した後、アスファルト敷きの資材置き場として利用していました。なお、取り壊された建物は未登記だったこともあり、堅固な建物かどうかは不明です。

同族会社は建物取り壊し後も地代を母に払い続けていました。

母がこの土地を子に贈与した場合のこの土地の相続税評価額は、建物が存在しないにもかかわらず借地権ありとして底地で評価するとした裁決が公表されています(実際の事例はかなり複雑なため、上記の事例は簡易にしています)。

 

(平成26年5月9日裁決)

 

上記事例に適用されるべき(旧)借地法では、第2条で借地権の存続期間は堅固な建物では60年、その他の建物では30年とされています(ただし、建物がこの期間中に朽廃したときには借地権は消滅します)。

第5条でその契約を更新する場合の存続期間は堅固な建物30年、その他の建物20年とされています。

第6条でその土地の使用を継続する場合に土地所有者が遅滞なく異議を述べないときは前契約と同一の条件で更に借地権を設定したものとみなすとしています。

 

これを基に審判所は次のように解釈しました(要約)。

 

 
 

・借地法第2条は、借地権存続期間満了前に借地権が消滅するのは、建物が朽廃したときだけである。

 

・朽廃というのは、建物が自然に腐蝕して、建物としての使用に耐えなくなった状態になることで、朽廃したかどうかは、建物の全体を観察して決めなければならず、建物を構成する各部分の材料が腐っても、建物として使用できる状態であれば、まだ朽廃したとはいえないとされている。

 

・朽廃と滅失とは区分され、建物が滅失しても借地権は消滅せず、この場合の滅失というのは、人工的滅失(建物取壊し)、自然的滅失を問わず、滅失して建物としての存在がなくなることをさしている。

 

・建物が滅失した後、借地権者が行う新建物の再築は借地権が存続している間になされればよく、滅失から再築までの時間的間隔に制限はない。

 

 

このことからこの事例における土地(地代の支払いを続けていた)については、従前の建物が堅固なものであったときは最初の契約期間内、その他の建物であったときも更新された期間内にある借地権の存する土地として底地評価するものとしました。


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2016年4月26日 (火)

評価差額に対する法人税額等が37%になります

平成27年度税制改正に続く平成28年度税制改正による法人税等の税率引き下げに伴い、相続税や贈与税を計算する場合の取引相場のない株式等の純資産価額における評価差額に対する法人税額等の税率が38%から37%に引き下げられました(財産評価基本通達186-2)。

 

財産評価基本通達186-2(新旧対照表)

 

なお、この改正は、平成28年4月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等を評価するときより適用されます。

 

これに伴い「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部が改正されています。

 

「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」の一部改正について(法令解釈通達)

 

相続税・贈与税申告で用いる最近の評価差額に対する法人税額等の税率は次の通りで、頻繁に改正されています。

 

               
 

相続、遺贈又は贈与による取得の日

 
 

評価差額に対する法人税額等の税率

 
 

平成26年10月1日~平成27年3月31日

 
 

40%

 
 

平成27年4月1日~平成28年3月31日

 
 

38%

 
 

平成28年4月1日~

 
 

37%

 


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2016年1月25日 (月)

同族法人へ低額譲渡したことによるみなし贈与に関する判決

本人と子・孫が株主である同族法人である株式会社へ、他の同族法人の出資等を低額譲渡した結果、株式の価値が増加した部分がみなし贈与に当たるとした東京高等裁判所の判決が公開されています。

 

平成27年4月22日判決 平成26年(行コ)第457号

 

納税者側は、次のような主張でした(要約)。

 
 

低額での現物出資のような資本等取引が行われた場合には、株主間での経済的利益つまり含み益の移動が生じ,これによって株主の所有株式の価額が直接影響を受けて増加する。これに対し,相続税法では,個人が所有する資産に評価益が生じても,それだけの理由で贈与税を課税されることはないところ,このような個人資産の評価益が損益取引に基因して発生した場合も同様に課税をされるべきではない。

 

例えば個人甲が同族会社に低額での財産の譲渡をした場合に,同族会社の株主乙の所有する株式の評価益は会社の資産等の増加に伴って株価が上昇したことによる反射的効果であって,経済的利益が甲から乙へと移動したとはいえない。

 

 

これについて東京高等裁判所は次のように判断して、みなし贈与を認めています(要約)。

 
 

控訴人らは,みなし贈与の対象となる相続税法9条の「利益」は資本等取引に起因する利益であることを要し、低額での財産の譲渡のような損益取引による利益はこれに当たらないと主張する。

 

しかし,次のような趣旨から相続税法9条の「利益」が法文上その発生原因となる取引を限定していると解すべき理由はない。

 

・同族会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合,その譲渡をした者とその会社やその株主等との間にそのような譲渡がされるのに対応した相応の特別の関係があることが一般である。

 

・実質的にみて,その会社の資産の価額が増加することを通じて,その譲渡をした者からその株主等に対し,贈与があったのと同様の経済的利益を移転したものとみることができる。

 

・従って、株式等の価額増加部分に相当する金額を贈与によって取得したものと解される。

 

 

なお、相続税法第9条のみなし贈与については、下記のエントリーを参照して下さい。

 

 その2 譲渡先が同族法人の合のみなし贈与


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