事業承継ガイドラインより(その3)
新年最初の記事は中小企業庁発行の「事業承継ガイドライン20問20答」を基に進めていきます。
事業承継ガイドラインより(その2)で新会社法を利用して現経営者が「拒否権付種類株式」を所有した上で後継者に経営権を譲り渡していく手法を述べました。
この後継者への経営権譲り渡しの点で必ず行う必要があるのが経営権の基となる会社の発行株式の譲り渡しです。一般的には現経営者から後継者へ無償で譲り渡す・・・すなわち贈与する方法で行われるかと思います。この場合に問題となるものの一つが贈与税です。
贈与税は現在2つの制度がありますが、今回は一般的な制度で大半の人が適用を受ける暦年課税制度による贈与税の場合を考えてみます。暦年課税制度は1年ごとの基礎控除として110万円を控除した後の金額に超過累進税率による贈与税率を乗じた金額が贈与税として贈与された者に課税されます。この方式では一般的には贈与を受けた財産の価額が高ければ高いほど高額な贈与税が課税されることになるのですが問題はそう単純でもないようです。
では現経営者から後継者へ会社株式を贈与する設例で贈与税負担を考えてみたいと思います。話しを単純にするため後継者はその会社の株式以外に贈与税の課税対象となるものの譲り受けはなく、またあり得ませんが株価の変動はないものとします。
中小企業で発行株式の全てを現経営者が所有する場合。この会社の全株式の相続税評価額(相続税・贈与税を計算する場合の価額)が5千万円だとします。
全株式を現経営者から後継者へその年に全て贈与した場合に後継者に課税される贈与税額は
(5,000万円-110万円)×50%-225万円=2,220万円
となります。何とも高額な負担でこの方法で贈与移転するのはほぼ不可能でしょう。
次に事業承継の一般的な期間である10年で贈与移転する場合(毎年500万円ずつ贈与)の毎年の贈与税は
(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円
10年合計では
53万円×10年=530万円・・・と時間をかけた効果を考えるとやはり高い!(当初記事を修正しております)
時として贈与税問題は事業承継にとって大きな問題であることが分かります。
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