2007年2月18日 (日)

相続時精算課税制度の留意点

「相続時精算課税制度」という相続税と贈与税を一体化した税制度が平成15年に創設されました。

この制度は原則として親から子への贈与を対象としていますが、次のような年齢制限を設けています(但し、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例では贈与者である親の年齢制限はありません)。

贈与する者(贈与者)である親・・・贈与の年の1月1日現在で65歳以上

贈与を受ける者(受贈者)である子(厳密には推定相続人である直系卑属とされ、既に死亡している子の子、つまり孫がいる場合はこの孫も含まれます)・・・贈与の年の1月1日現在で20歳以上

相続時精算課税制度の適用を受けると累計した贈与財産の価額が2,500万円(住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例では一定計算の上で3,500万円)までは贈与税が課税されず、これを超える場合に一律20%の贈与税が課税されるというものです。一般的には贈与税の課税負担がかなり軽減されます。

しかし、贈与者である親の死亡による相続税の計算上ではこの相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は全て贈与時の相続税評価額により相続財産に加算して相続税を計算することとなります。つまり、相続税計算の上では不利な取扱いになります。

将来相続税が課税される可能性がある場合には、相続時精算課税制度の適用については必ず事前の検討をする必要があります。この制度はうまく利用すると贈与税負担が殆ど無い生前贈与をすることにより将来の遺産分割のトラブルを防ことができると考えられます。しかし、失敗すると最低限の相続割合である遺留分の問題が表面化して逆に遺産分割のトラブルを招くこともあり得ます。また、贈与財産によってはその価格の変動により予測していた以上の相続税負担を強いられることも考慮しなければいけません。

この様なことから、薬になることも毒になることもある相続時精算課税制度・・・是非うまく利用したいものです。

 

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2007年2月17日 (土)

暦年課税贈与税の留意点(生前贈与加算)

「暦年課税制度による贈与税」が課税対象となる贈与を行ったことにより、相続人等に課税される相続税の影響が全くなくなるかというと実はそうではありません。

相続税の計算において、亡くなった方である被相続人が相続開始前3年以内に贈与した財産のうち、相続などで被相続人の遺産等を取得した者に対する贈与財産を相続財産に加算する(相続税の課税対象とする)・・・生前贈与加算という制度が相続税法に設けられている点に注意が必要です。

相続税の計算上、相続などで遺産を取得した者が被相続人からその亡くなる前の3年以内に贈与を受けた財産は、相続財産の前渡し的な要素が強いと考えます。そこでこの3年以内の贈与財産は遺産ではないのですが、相続税の計算をする上ではその課税対象とするという規定です。つまり

・相続等により遺産を取得した者が被相続人からその亡くなる前の3年以内に贈与を受けた財産 → 相続税の課税対象となります。

・相続等により遺産を取得しなかった者が被相続人からその亡くなる前の3年以内に贈与を受けた財産 → 相続税の課税対象とはなりません。

これを逆に捉えると、相続人ではなくて遺産を取得することもないであろう孫へ贈与するなど相続税を絡めた生前贈与対策を検討することも有効です。

相続税対策を目的とした生前贈与は長期的な視野を持って検討する必要があるとともに、税務や法務の諸問題があります。将来の相続税が心配な場合には、現状分析を含めた検討が必要であることをしっかりと認識しておきましょう。

 

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2007年2月15日 (木)

暦年課税贈与税の留意点(基礎控除以下の贈与)

親子間等での贈与をおこなうときには「暦年課税制度による贈与税」が通常では課税されます。

この原則的課税制度である暦年課税制度の贈与税は

その年の1月1日~12月31日までの贈与財産の価額から基礎控除額である110万円を控除した金額に対して贈与税が課税されます。言い換えると、贈与を受けた財産が年間110万円以下であればこの制度の贈与税は課税されないこととなります。

では、この基礎控除額110万円以下の価額である財産を毎年贈与する方法が相続税対策として最も効果のある方法なのでしょうか?

答えは残念ながら「そうとは言い切れない」となります。

もし本人の相続が開始して相続税が課税されたとき課税対象となる財産の総額に対して、相続等により遺産を取得した者の全ての相続税額を合計すると、例えば10%を超える相続税が課税されたとします。毎年110万円の贈与を繰り返していたとしても、その結果である相続税の減税効果は大した金額ではないはずです。もっと贈与する価額を多くした方が減税効果は上がったはずです。

本来事前に検討すべき事は相続税と贈与税とを比較した減税効果の他、支払った贈与税相当額をもし運用していたときのその運用益や民法上の特別受益や遺留分などの諸問題などです。

この様なことから相続や相続税の諸問題の検討が必要な方は、現状分析の上で生前贈与を行うにしても効果的で、かつ、問題を最小限に抑える方策を検討する必要があります。

 

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2007年2月12日 (月)

贈与税の概略

相続対策のためだけでなく資金援助のためなどに、本人の財産を子供などへ贈与をしたいと考えることも多いかと思います。この場合に気になることの一つが贈与税ではないでしょうか?

贈与税については、まず基本的な正しい知識を持つ事が必要です。そこで今回は、この贈与税の基本的な事を概略してみます。

1.日本には贈与税法はない

贈与税は相続税法に規定されている税です。言い換えるなら相続税と贈与税は非常に関連性の強い税金なのです。

2.贈与税は2つの課税制度がある

従来からある「暦年課税制度」と平成15年度の税制改正により創設された「相続時精算課税制度」の2制度が併存する形であります。

3.暦年課税制度

財産を多く持つ方が自分の将来の相続税負担を気にして財産を子供などに生前贈与した結果、相続税が課税されないことが考えられます。そこで生前贈与について超過累進税率(価額が高額となればなるほど税率を高くする方法)により課税することで、税務面から相続税を補完するために設けられた贈与税制度です。贈与税の原則的な課税制度です。

4.相続時精算課税制度

高齢化社会となった現状の日本では、相続による次世代への財産移転が遅れています。その結果、若中年層の財産は少なくて、その親世代の財産が多いという統計が発表されています。そこで親から子への生前贈与について贈与を受けた子の贈与税の課税負担を軽減することにより、生前の財産移転を税務の面からやりやすくするために導入された制度です。但し、この制度を利用した子の親が亡くなったときの相続税の計算では、贈与財産を相続税の課税対象とすることとして、相続税の課税面では不利にしています。贈与財産は相続財産の前渡し・贈与税は相続税の前払と捉えて、相続税と贈与税を一体化させた制度です。原則として親から子への贈与を対象にした贈与税の特例的な課税制度です。

 

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2007年2月 7日 (水)

財産の組み直しの検討

現状分析の結果から将来において相続・・・特に相続税の問題が発生する可能性がある場合、特に納税資金不足の問題や相続財産の分割問題が予想されるときには現状の財産を組み直す必要性があります。採算性の低い土地などは、将来の隠れた債務である相続税負担だけでなく遺産分割をする上でもネックとなる財産である可能性が高いのです。

財産の組み直しというと単純にその財産を売却してしまうことだけを考えがちです。しかし、例えば土地について考えると売却すればそれで終わりと単純に割り切れる場合は少ないと思います。特に代々受け継いできた土地などそう簡単に全てを売却してしまうという決心はつきかねる方も多く、そのお気持ちは十分理解できます。

そうは言っても、このまま何もしないというのは問題の先送りです。

土地を例に取ると状況に応じて売却とそれ以外の方法を検討すべきです。では、土地の売却以外の方法とはどのようなものがあるでしょうか。

貸宅地の場合では、借地人の借地権と貸宅地を交換して更地とする方法があるでしょう。この方法を採ると売却と同様に所有地積は減ります。しかし更地とすれば貸宅地と比べ利用の制限がなくなり、その土地の有効活用を進める上で大きなメリットがあります。

また、本人とその兄弟の共有地となっていて将来的に権利関係が更に複雑化すると考えられる土地については、その共有地を分割して単独所有地とする方法があるでしょう。単独所有とすることで、共有地と比べ利用や処分の制限がなくなります。

いずれにしても上記のような財産組み替えに関しては、税務・法務の問題が発生します。現状分析の結果において各種問題を発見したならば専門家を交えた対策案を十分に考えて納得の上で作成しましょう。そして、その対策案の実行を早急に進めていくことが何よりも重要となります。

 

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2007年2月 4日 (日)

遺産分割の問題

相続税だけではなく相続の問題となるのが遺産分割に関する問題でしょう。場合によっては、誰がどの遺産を取得するのか・その遺産の価格はいくらなのか・公平な遺産分けとなっているのか等といった問題が実は一番ややこしいのではないでしょう。

推定相続人(今現在において健在である本人の死亡時に、相続人となると考えられる者)の間で意思疎通が悪いケースでは、遺産分割について紛争となり遺産分割が整わない場合や特定の相続人が遺産分割に故意に参加せず遺産分割協議自体ができない場合も想定されます。一般的に相続人は本人の配偶者と子供または子供だけとなる場合が多いのですが、これ以外の場合(配偶者と兄弟姉妹等)が相続人の場合にトラブルが起きることが多いようです。

特に相続税申告が必要な場合にトラブルとなり遺産分割が決まらないときには、減税効果の大きい「配偶者の相続税の税額軽減」や「小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例」が適用できず、税負担が重くのし掛かることもあります。

トラブルが予想される場合には、本人の生前において遺言を利用することが有効です。本人が推定相続人の取得する相続財産を予め遺言により指定しておくこと等、遺言の活用方法はかなり多いはずです。

遺言の利用については公正証書遺言をお勧めします。公正証書遺言の有効性や相続財産である預金払い戻しや名義変更が問題となった件等もありますが、それでも各種問題を含めて遺言自体が無効となる可能性を最小限に抑えることができるのが公正証書遺言だと思います。

しかし、その他の問題として他の相続人(兄弟姉妹が相続人である場合を除く)の遺留分の問題があります。

この様な色々な問題を考慮すると、遺言の作成に関しては専門家や遺言信託を業務とする信託銀行などへ相談した上で、しっかりとした遺言を作成することが望ましいでしょう。

 

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2007年1月31日 (水)

相続税節税の問題

相続税の納税資金問題に併せて相続税の節税問題についても考えてみます。やはり典型的な例としては不動産(主として土地)を多くお持ちの方の相続税現状分析の結果についての対策問題でしょう。

バブルの時期によく見られたのが更地や駐車場用地に貸家(多くは貸アパート・マンション)を建てる方法です。これによりその土地の相続税評価額は自用地評価額から貸家建付地に変わり、約2~3割の評価減が期待できます。

しかしこの方法は注意が必要です。採算性の検討をせずに単に相続税の節税効果だけをねらって行った貸家建築は失敗している場合が結構あるようです。キャッシュフローが回らずに資金の持ち出しとなり金融資産の減少を招いたケース、あるいは更地としておいたなら相続税の納税資金捻出のための売却や物納が可能であったのに貸家を建築したためにこの売却や物納が困難となってしまったというケースなどです。

この様なケースに陥らないために重要なのは、相続税の節税面のみに注目するのではなくその対策案の採算性やキャッシュフローを重視することです。貸家を建設するのであれば空室リスクも勘案しどの程度の危険性まで耐えることができるのかもしっかりと検討する必要があるでしょう。

相続税対策は節税効果や目先のことだけに囚われず「まずはしっかり検討。決定後は迅速に実行する。」ということが重要で、どこか企業経営に似たところがあるようです。

 

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2007年1月28日 (日)

納税資金不足の問題

現状分析の結果、予想される相続税について納税資金がかなり不足する場合について考えてみます。典型的な例として不動産(主として土地)を多くお持ちの方の相続税の現状分析の結果です。

この様なケースでは、財産が不動産に偏っているのが原因であると考えられます。これらの偏ってしまっている不動産について採算性を検討し、その処分等により納税資金となる金融資産への組み替えを検討するのが初めの第一歩となるでしょう。

不動産の採算性は、それぞれの不動産についてここ何年かのその不動産が貢献した所得だけでなくキャッシュフロー(資金繰り)も検討しなければなりません。所有する土地に貸マンションを建築したけれども借入依存度が高く、その借入金の元本返済(所得計算の上では必要経費となりません)がネックとなって、所得としてはあがっているのにお金が残らないという場合は多々あります。この様な場合も処分等の検討対象不動産となります。

それともう一つが貸宅地の問題でしょう。所有している土地に第三者の普通借地権を設定している宅地です。固定資産税に比べて年間地代が余り獲得できず、相続税評価額は結構高額となる物件です。将来の相続税を隠れた債務と捉えた場合、貸宅地は採算性だけでなく隠れた債務である相続税負担の上で大きな問題となる場合がかなり多いのではないかと思います。

これらの採算性の悪い物件や貸宅地については、見直しをした上で処分やその他の方策(現行ではかなり難しくなっていますが相続税の物納)等により納税資金のための金融資産やキャッシュフローに貢献する優良物件等に組み替える必要性が大です。

いずれにせよ納税資金不足が予想される場合が相続税問題の上では一番大きな問題です。ますは対策案を作り、その実行が早急に必要となります。

 

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2007年1月22日 (月)

相続税が課税される場合

相続税が課税されるのは、亡くなった方(被相続人)の遺産などのうちで相続税の課税対象となる純資産(基本的には「財産から債務を控除した金額」です)の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合です。

遺産に係る基礎控除額の計算は次の通りです。

5千万円+1千万円×法定相続人の数

法定相続人の数とは基本的には民法上の相続人の数によりますが、子供の中に養子がいる場合には次の制限を受けることとなります。

子供の中に実子がいる場合・・・養子が何人いても1人までしか数に入れない。

子供の中に実子がいない場合・・・養子は2人までは数に入れます。養子が3人以上いても2人までしか数に入れません。

なお、特殊なケースではこの制限を受けない養子が存在する場合もあります。

被相続人の遺産などのうちで相続税の課税対象となる純資産の価額の合計額(正確には一定の贈与財産を加算した「課税価格の合計額」です)が、遺産に係る基礎控除額以下である場合には相続税の課税問題はないこととなります。

国税庁より発表された統計によると、平成17年中(平成17年1月~平成17年12月)に相続が開始した被相続人について、平成18年10月31日までに提出された申告書(相続税額があるもの)の提出割合は、全被相続人のうちの4.2%だそうです。

「相続・贈与とその税務」を考える場合、まずはこの相続税申告が必要な5%弱のグループに入るかどうかを見極めることが必要でしょう。

 

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